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奥多摩ノート

奥多摩町の不動産が住所から地図上の位置を特定しにくい理由

奥多摩の不動産、例えば空き家バンクに登録されている土地や戸建ての地図上の場所や緯度経度を住所から調べようとしてもできない事がある理由を住所と地番の違い、歴史的経緯から解説


住所と地番の違い

都心に住んでいると地番という言葉を聞く事はほとんどないかもしれませんが、 もしかしたら、過去にマンションを購入した方は新築マンションの売り出し時のチラシなどにXX区XX町XXXX(地番表記)と書かれているのを見た事はあるかもしれません。

  • 地番:土地につけられた番号です。もともとは登記(所有者の登録)や課税のために、法務局が土地一筆ごとにつけたもので、古くはこれをそのまま住所として使っていました。
  • 住居表示:建物の場所をわかりやすく示すために、比較的新しく(1962年以降)市区町村がつけた住所です。「○○町○番○号」のような表記で、普段わたしたちが住所と呼んでいるのはこちらです。

住居表示を導入した地域では住居表示が住所になり、導入していない地域では今も土地の地番がそのまま住所として使われます。冒頭の新築マンションのチラシが地番表記なのは、建物がまだ完成しておらず住居表示(住居番号)が確定していないため、一時的に土地の地番で場所を示しているからです。

なぜ住所が必要になったのでしょうか? 地番が複雑になりすぎるからです。

日本では土地と建物は別々に登記(所有者登録)されます。1つの土地にそれぞれ所有者が違う2つの建物が建っている事も珍しくなく、そういった状態のままですと土地がわけられないので誰が土地を相続するか相続の際に問題になる事があります。 相続で揉める事を避けるために、土地をわけて所有者登録できるように分筆すると地番も分かれます。逆に2つの土地を1つに合筆すると地番に欠番ができます。 これが売買・相続のたびに何十年も積み重なっていくと、1番の隣が52番になったりするので、場所と地番の関連性がどんどん失われます。 そのため行政は区画整理等のタイミングで新住所を改めて命名する事で住居表記に整理していこうとするわけです。

しかし、 地元に誇りを持っている住民が多い地域などは新住所表記に反発する場合などもあります。 例えば、東京都千代田区では浪曲『清水次郎長伝』で有名な掛け合い

「食いねぇ、食いねぇ、すし食いねぇ。江戸っ子だってねぇ」「神田の生まれよ」

の千代田区の神田には住居表示が未実施の地域が残っています。更に一度、新住所表記になって「神田」が住所から消えた後に住人運動で「神田」の文字が住所に復活した事例などもあります。 皆さん、神田に思い入れがあるわけですね。

さて、奥多摩も実は住居表示が未実施で、住所として地番(◯◯番地)をそのまま使っています。 都心と違ってそもそも人口密度も不動産取引量も少ないので地番のままで不便がないため、「奥多摩では住所と地番がほぼ同じもの」と考えて良いのです。

しかし、ここで山村部(林地)特有の問題が絡んできます。地番が正確とは限らないのです。 土地を改めて登記、つまり所有者を正式に確定するためには「土地の境界・登記の正確さ」を確認しないといけません。つまり地籍調査(ちせきちょうさ)が必要なのです。

山林部分で所有者同士の立ち会いの上、境界を確定していく作業は本当に大変です。 地震などで過去に取り決めた境界ずれている事もありますし、当時の所有者間の取り決めを誰も把握していない事もあります。コストにメリットが見合わないものであり、後回しされがちなのです。

奥多摩町自身が出している一次資料としては、町の地籍調査事業のページ(「地籍調査の進め方」「実施状況及び今後の予定」)があります。ここに奥多摩町は山林を含めた面積が広いため、調査対象は山林を除く住宅地周りを対象としており、平成17年度から事業に着手していることが書かれています。規模感としては町全体面積225.53平方キロメートルに対し、調査対象面積は10.7平方キロメートルで、山林の大半は最初から地籍調査の対象外という位置づけです。

より大きな背景としては、国(国土交通省・総務省)が出している「山村部における地籍整備の実施状況と課題」などの資料が実質的なまとめになっています。全国的な傾向として令和7年度末時点の地籍調査進捗率は全国平均53%だが、都市部(DID)と山村部(林地)で進捗が遅れているとされ、林地は平成29年時点で約45%と全国平均を下回っている状況です。

つまり現地では緩やかに地番表記がどの辺りまでを含むのか合意はとれているが、きっちりとは確定できておらず国も把握できてない状態という事です。 そのため、デジタル庁や国土交通省の資料であっても正確な場所が地図から特定できない事があるのです。

なお、奥多摩不動産案内所の「奥多摩の家・土地 無料AI診断レポート」は地番表記からでも奥多摩地域の物件であればAIが場所を推定するように工夫されています。

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